盗まれた楽器はどこへ流れるのか|捜索のヒント

相談者

盗まれた楽器って、その後どこへ行くんでしょうか。もう海外にでも売られてしまったんじゃないかと不安で。

案内役

多くは国内の中古市場に流れます。しかも、すぐ売られるとは限りません。流れる先が分かれば、どこを見張ればいいかも見えてきますよ。

結論からお伝えします。盗まれた楽器は、中古市場やフリマアプリ、ネットオークションなど、さまざまな経路で転売される可能性があります。質屋、リサイクルショップ、中古楽器店、フリマアプリ、オークションが、その候補として考えられます。

どの経路がどれくらいを占めるかを示す公的な統計は確認できていません。ここでは、換金しやすい品物であるという性質から考えられる流れとしてお読みください。

そして、すぐに売りに出されるとは限りません。しばらく寝かせてから出てくることも珍しくないため、探すのは長期戦になります。

この記事では、盗まれた楽器がどう流れていくのか、どの段階で気づける可能性があるのか、そして探す側は何を見張ればよいのかをまとめました。仕組みを知っておくと、闇雲に探すより効率が上がります。

なぜ換金を急ぐのか

楽器店の店頭に並べられたサクソフォン

楽器を盗む動機は、そのほとんどが換金です。演奏したくて盗む人は、まずいません。

そして盗んだ側にとって、楽器は持っているだけでリスクになります。見つかれば言い逃れができませんし、保管する場所も要ります。ですから、できるだけ早く現金に換えたいと考えます。

この事情は、探す側にとって悪い話ばかりではありません。売りに出されるということは、どこかで人の目に触れるということだからです。誰にも見せずに隠し持たれるより、見つかる可能性はずっと高くなります。

だからこそ、被害届とシリアル番号が効いてきます。売りに出された瞬間が、気づける最大の機会になるのです。

考えられる行き先

行き先特徴気づける可能性
質屋身元確認と記録の義務がある比較的高い
リサイクルショップ楽器の専門知識は限られる中くらい
中古楽器店専門知識があり記録も残る高い
フリマアプリ個人間。写真が公開される自分で探せる
オークション同上。落札後は追いにくい自分で探せる

お店に持ち込まれる場合

リサイクルショップと中古楽器店は古物営業法、質屋は質屋営業法に基づいて営業しています。適用される法律は異なりますが、いずれも買い取りのときに相手を確認し、品物の情報を記録することが求められています。

そして、不正品の疑いがあると認めたときは、警察へ申告することになっています。また警察は、必要と判断した場合に「品触れ」という書面をお店へ出すことがあります。

ただし、届け出たシリアル番号が全国のお店へ自動で共有される仕組みはありません。それでも番号を届け出ておくことで、こうした場面で結びつく可能性が生まれます。

特に中古楽器店は、楽器の専門知識があります。相場より不自然に安く持ち込まれた、持ち主なら知っているはずのことを知らない、といった違和感に気づきやすい立場です。近隣のお店に情報を伝えておく価値は、ここにあります。

フリマアプリやオークションに出る場合

個人間の取引なので、身元確認の仕組みはお店ほど厳密ではありません。そのぶん、盗んだ側にとっては使いやすい経路になります。

ただし、探す側にとっては大きな利点があります。写真が公開されるからです。刻印や傷が写り込んでいれば、手元の記録と照らし合わせられます。お店の在庫は自分で見に行かないと分かりませんが、こちらは自宅から確認できます。

だからこそ、検索条件を保存して新着通知を受け取れるようにしておくことをおすすめしています。

相談者

もう半年も経ってしまいました。今さら探しても遅いでしょうか。

案内役

遅くありません。ほとぼりが冷めてから売りに出されることもありますし、買った人が手放して再び市場に出ることもあります。通知を設定して、気長に構えてください。

すぐに売られるとは限りません

床に置かれたトロンボーン

ここは誤解されやすい点です。「数日で売り飛ばされて、もう手遅れ」と思い込んで探すのをやめてしまう方がいます。

実際には、しばらく手元に置いてから売りに出されることがあります。すぐ持ち込めば怪しまれると考えるからです。数か月後、場合によっては年単位で経ってから現れることもあります。

もうひとつ、市場に出たあとの動きもあります。買った人が使わなくなって、また売りに出す。中古楽器は何度も持ち主が変わりますから、そのたびに人の目に触れる機会が生まれます。

ですから、探すのをやめる必要はありません。むしろ、続けられる形にしておくことが大切です。毎日手作業で検索するのは続きませんが、通知を設定しておけば負担なく待てます。

ただし、無償で取り戻せる期間には限りがあります。時間が経つほど手続きが不利になる点は、頭の片隅に置いておいてください。

見張るべき場所と、そのやり方

白い背景に置かれたアルトサクソフォン

流れる先が分かれば、見張る場所も決まります。

まず、フリマアプリとオークション。メルカリ、ヤフオク、ラクマ、ジモティーあたりが主な場所です。検索条件を保存して、新着が出たら通知が届くようにしておいてください。

次に、中古楽器店の在庫ページ。オンラインで在庫を公開しているお店は多く、定期的に見ておく価値があります。近隣のお店には、シリアル番号と特徴を直接伝えておくとなお良いです。

キーワードは、書き方を変えて複数登録してください。出品する人が正式名称で書くとは限りません。英字とカタカナ、ハイフンのあるなし、枝番を落とした形、通称。ひとつの楽器につき5通りから8通りは用意しておきたいところです。

そして、自分の目だけに頼らないことです。演奏する仲間、楽器店の方、修理を頼んでいるリペアマン。事情を知っている人が増えるほど、見つかる可能性は上がります。

見つけたときは、連絡せずに記録を

ここは何度でも申し上げます。それらしい出品を見つけても、出品者に連絡してはいけません。

連絡すれば警戒され、出品が取り下げられます。せっかく見つけた手がかりが消えてしまいます。しかも出品者が盗んだ本人とは限らず、事情を知らずに買った方かもしれません。

やることは決まっています。スクリーンショットを撮り、URLを控え、手元の記録と照らし合わせ、そのうえで警察に連絡する。この順番を守ってください。

買い戻そうとするのも避けてください。盗んだ側に利益を渡すことになりますし、その後の手続きも複雑になります。

情報を公開して、見つける目を増やす

ここまでお読みいただいて、ひとりで全部を見張るのは無理だとお感じになったと思います。実際、そのとおりです。

全国のフリマアプリと中古楽器店を、たったひとりで毎日確認し続けることはできません。だからこそ、情報を公開して、他の人の目を借りるという考え方が有効になります。

楽器を扱う人は、街の楽器店にも、学校にも、楽団にもいます。中古楽器を買おうとしている人が、購入前に確認してくれることもあります。掲載しておけば、そうした場面で気づいてもらえる可能性が生まれます。

当センターでは、盗難や紛失にあった楽器の情報を無料で掲載しています。特徴やシリアル番号を公開し、見かけた方から情報を受け取れるようにする仕組みです。掲載のときには、フリマアプリなどで探すための検索キーワードと検索リンクもお渡ししています。

寄せられた情報は、当センターが間に入って掲載者へお伝えします。情報をくださった方の連絡先が掲載者に渡ることはありませんし、当事者同士が直接ぶつかることもありません。何年前の被害でも掲載できますので、まだ探している方はご相談ください。

よくある質問

海外に持ち出されることはありますか

可能性はあります。ただし、どの程度の割合かを示す公的な統計は確認できていません。海外を心配して国内の捜索をやめてしまうのは、もったいないことです。まずは国内の中古市場やフリマアプリを中心に見張ってみてください。

解体されて部品として売られることはありますか

そうした可能性も否定はできませんが、どの程度あるかを示す資料は確認できていません。マウスピースやケースだけが別に出品されることも考えられますので、付属品の特徴も控えておくと手がかりが増えます。

質屋に入ったら、もう戻らないのでしょうか

そんなことはありません。質屋は質屋営業法に基づいて記録を残すことが求められており、警察の照会にも応じることになっています。個人間で転売される場合よりも、たどりやすい経路といえます。届出とシリアル番号があれば、結びつく可能性があります。

近所の楽器店に伝えておく意味はありますか

あります。盗まれた楽器は、被害場所の近くで換金されることが少なくありません。シリアル番号と特徴を伝えておけば、持ち込まれたときに気づいてもらえる可能性があります。対応はお店によって異なりますので、まずは相談してみてください。

どれくらいの期間、探し続ければいいですか

決まりはありません。通知を設定しておけば負担なく続けられますので、無理のない形で長く構えておくのがよいでしょう。ただし、無償で取り戻せる期間には限りがありますので、見つかったときは早めに動いてください。

相談者

まだ望みはあるんですね。通知を設定して、気長に待ってみます。

案内役

その姿勢が大切です。ひとりで見張らず、情報を公開して仲間を増やしてくださいね。見つける目は多いほどいいんです。

まとめ

盗まれた楽器は、中古市場やフリマアプリ、ネットオークションなど、さまざまな経路で転売される可能性があります。どの経路がどれくらいを占めるかを示す公的な統計は確認できていませんが、換金しやすい品物である以上、人の目に触れる場に出てくることは十分に考えられます。

お店に持ち込まれた場合は記録が残り、不正品の疑いがあれば警察へ申告されますので、届出とシリアル番号があれば気づける可能性があります。フリマアプリなら、写真が公開されるので自分でも探せます。

すぐに売られるとは限りません。数か月後、年単位で経ってから現れることもあります。通知を設定して、続けられる形で見張ってください。

楽器盗難・紛失情報センターでは、盗難や紛失にあった楽器の情報を無料で掲載しています。ひとりで全国を見張ることはできませんが、情報を公開すれば、見つける目を増やすことができます。何年前の被害でも掲載できますので、まずはご相談ください。

※ この記事は一般的な情報をまとめたものであり、法律上の助言を行うものではありません。当センターは警察・行政機関・法律事務所ではありません。個別の事情によって対応が異なる場合がありますので、警察・弁護士等の専門家へご相談ください。