相談者シリアル番号を控えておくようにと言われたのですが、私のホルンはどこを見ればいいのでしょうか。
案内役楽器の種類ごとに、刻まれている場所の定番があります。順番に見ていきましょう。明るいところで、少し傾けながら探すのがコツです。
シリアル番号は、同じメーカーの同じ型番のなかから、その一本を言い当てるための番号です。盗難や紛失にあったとき、この番号があるかないかで話の進み方が変わります。
ただ、どこに刻まれているかは楽器によって違います。この記事では、楽器の種類ごとに代表的な位置をまとめました。なぜ番号が必要なのか、控え方をどうするかについては、別の記事で説明しています。

刻印の位置は、メーカーによっても製造された年代によっても変わります。ここに挙げるのは、よく使われている位置です。同じメーカーでもモデルによって違うことがありますので、あくまで探す順番の目安としてお使いください。
見あたらない場合や、判読できない場合の調べ方は、記事の後半にまとめています。
探すときの下準備
番号は小さく、浅く刻まれています。暗い場所では見えません。窓際か、明るい照明の下で作業してください。
役に立つのは、スマートフォンのライトと、同じくスマートフォンのカメラです。ライトを斜めから当てると、刻印の影が出て文字が浮かび上がります。真正面から当てると光が反射して、かえって見えにくくなります。
見つけたら、その場で撮影してください。目で読んで書き写すと、数字の6と8、1と7を取り違えることがあります。写真ならあとから拡大して確認できます。
なお、刻印が読みにくいからといって、磨いたり削ったりしないでください。かえって消えてしまいます。汚れている場合は、乾いた柔らかい布で軽く拭く程度にとどめてください。

相談者ライトを当ててみたのですが、どうしても見つかりません。
案内役一度で見つかることのほうが少ないくらいです。楽器をゆっくり回しながら、光の角度を変えてみてください。写真に撮って拡大すると、肉眼では見えなかった数字が出てくることもありますよ。
トランペット・コルネット・フリューゲルホルン
いちばん多いのは、バルブケーシングの側面です。ピストンが入っている三本の筒のうち、真ん中、つまり第2バルブの筒に刻まれていることがよくあります。楽器を構えたときに自分から見える側と、その反対側の両方を確認してください。
次に多いのが、抜差管を支えている支柱の付近や、バルブケーシングの下側です。メーカー名やモデル名の刻印がベル側にある場合、その近くに番号が並んでいることもあります。
ベルに彫刻が入っている楽器では、彫刻の端に小さく数字が添えられていることがあります。装飾の一部に見えて見落としやすい場所です。
トロンボーン
ベル側とスライド側に分かれている楽器なので、探す場所も二か所あります。
ベル側は、ベルの根元付近や、支柱のあたりです。スライド側は、スライドを受ける管の上部、スライドロックの近くを見てください。
気をつけたいのは、ベルとスライドで番号が違うことがある点です。修理や買い替えで組み合わせが変わっている場合もあります。両方の番号を控えておくと、どちらか一方だけが出てきたときにも照合できます。

ホルン
管が何重にも巻かれているぶん、探しにくい楽器です。まず見るのは、レバーやロータリーが集まっている機構の周辺、そして本体の平らになっている部分です。
ベルの内側や外側の縁に近いところ、メーカー名の刻印の近くにもよくあります。ベルカットができるモデルでは、取り外し部分の接合部付近を確認してください。
管が重なって見えにくいときは、楽器を回しながら少しずつ角度を変えて、ライトの当たり方を変えてみてください。
ユーフォニアム・チューバ
考え方はトランペットと同じで、バルブケーシングの周辺が第一候補です。ピストン式ならピストンの筒の側面、ロータリー式ならロータリーの機構の近くを見てください。
大きな楽器なので、ベルの根元付近や、主管の目立たない場所に刻まれていることもあります。メーカーのロゴが入っている面をひととおり確認するのが早道です。

サクソフォン
本体の裏側、親指をかけるサムフックやサムレストの上下あたりが定番です。演奏中は自分から見えない面ですので、楽器を裏返して確認してください。
メーカーによっては、本体上部のオクターブキイの周辺や、ネックの根元にも刻印があります。ネックには本体と別の番号が入っていることがありますので、こちらも控えておくと確実です。
マウスピースには通常シリアル番号はありません。ただし、メーカー名や開きの表示が刻まれていますので、その内容も記録しておくと特徴のひとつになります。
クラリネット・オーボエ・ファゴット
木製の楽器は、管体に直接刻まれていることが多いです。クラリネットなら上管と下管、たる、ベルのそれぞれを確認してください。メーカー名やロゴの下に小さく並んでいることがよくあります。
オーボエやファゴットも同じ考え方で、管体とベル付近が候補になります。ファゴットは部品が多いので、組み立てる前の状態で一本ずつ見ていくと見落としが減ります。
木の表面は色が濃く、刻印が沈んで見えます。ライトを斜めから当てる方法が特に効きます。

フルート・ピッコロ
頭部管の管尻、つまり胴部管と接続する側の端に近いところが第一候補です。次に、胴部管の接合部の付近、メーカー名の刻印がある面を確認してください。
キイの並びに隠れて見えないこともありますので、キイを避けながら管の表面をたどってください。足部管に刻まれているモデルもあります。
銀や洋銀の楽器では、素材を示す刻印と番号が並んでいることがあります。両方を控えておくと、特徴として使えます。
弦楽器・ギター・その他
ヴァイオリンやチェロなどの擦弦楽器には、工業製品のようなシリアル番号がない場合が多くあります。かわりに、f字孔からのぞくと内部にラベルが貼られていて、製作者名や製作年、番号が記されています。量産品では、ネックの内側や裏板にスタンプが押されていることもあります。
ギターやベースは、ヘッドの裏側、ネックとボディをつなぐプレート、サウンドホールの内側のラベル、ネックの取り付け部分などが候補です。エレキギターでは、ピックアップを外した内部に書かれていることもあります。
アンプ、エフェクター、電子ピアノなどの機材は、背面や底面のシールに記載されているのが一般的です。シールは剥がれやすいので、早めに撮影して残しておいてください。
楽器別のまとめ
| 楽器 | まず見る場所 | 次に見る場所 |
|---|---|---|
| トランペット・コルネット | 第2バルブケーシングの側面 | 支柱の付近、ベルの彫刻の端 |
| トロンボーン | スライドを受ける管の上部 | ベルの根元、支柱の付近 |
| ホルン | レバー機構の周辺 | ベルの縁、本体の平らな面 |
| ユーフォニアム・チューバ | バルブケーシングの周辺 | ベルの根元、主管 |
| サクソフォン | 本体裏側のサムフック付近 | ネックの根元、オクターブキイ周辺 |
| クラリネット | 上管・下管の管体 | たる、ベル |
| オーボエ・ファゴット | 管体のメーカー名付近 | ベル付近 |
| フルート・ピッコロ | 頭部管の管尻 | 胴部管の接合部、足部管 |
| ヴァイオリン・チェロ | f字孔から見える内部のラベル | ネック内側、裏板のスタンプ |
| ギター・ベース | ヘッドの裏側 | ネックプレート、サウンドホール内 |
| アンプ・電子楽器 | 背面のシール | 底面のシール |
番号の見た目を知っておく
「これは番号ではないだろう」と思って通り過ぎてしまうことがあります。書式にはいくつかの型がありますので、知っておくと見落としが減ります。
桁数はメーカーによって違います。4桁ほどの短いものから、7桁を超えるものまであります。特定の桁数でなければ違う、と決めつけないでください。
数字の前後にアルファベットが付くことがあります。製造した工場や年代を示す記号のことがあり、これも番号の一部として控えておいてください。
紛らわしいのが、型番やモデル名との区別です。型番は同じモデルの楽器すべてに共通する表示で、個体を特定できません。シリアル番号は一本ごとに違います。両方が近い場所に刻まれていることもありますので、見つけたものはすべて記録しておくのが確実です。どちらか分からないまま控えておいて、あとで判断すれば十分です。
番号以外に、その一本を示せるもの
シリアル番号は強い手がかりですが、唯一の手がかりではありません。番号が分からない楽器でも、次のような情報を積み上げれば特定できることがあります。
傷やへこみは、位置と大きさと数を書き出してください。「ベル外側の下部に直径1センチほどのへこみが1か所」というように、他の個体と重ならない形で記録します。
修理や改造の履歴も有力です。半田付けをやり直した跡、交換した部品、塗装を直した箇所。修理店の伝票が残っていれば、いつどこを直したかまで示せます。
名前や記号を彫っている場合は、その内容と位置を控えてください。学校や楽団の備品では、管理番号が刻まれていたりシールが貼られていたりします。
ケースや付属品も情報になります。ケースの色と型、貼っているステッカー、中に入れているクロスや小物。楽器とケースがセットで動くことは多いので、あわせて記録しておいてください。
相談者番号が分からなければ、もう探しようがないと思っていました。
案内役そんなことはありません。傷や修理跡の組み合わせで特定できることもあります。番号は強い手がかりですが、唯一の手がかりではありませんよ。
分かっている情報だけでも掲載はできます。まずは形にしておくことをおすすめします。
メーカーや販売店に問い合わせるとき
手元に楽器がなく、記録も残っていない場合は、メーカーや購入したお店に問い合わせることになります。
伝えたいのは、購入した時期、購入したお店、モデル名や型番、外観の特徴です。「何年ごろに、どこで、どのモデルを買った」という組み合わせが分かれば、販売の記録から番号にたどり着けることがあります。
ただし、記録の保存期間には限りがあります。古い購入や、店舗が閉じている場合は分からないこともあります。回答が得られなくても、他の情報で進める道は残っていますので、そこで止まらないでください。
どうしても見つからないとき
探しても出てこない場合、そもそも番号が付けられていない楽器という可能性があります。古い楽器や、手工品にはよくあることです。
手元に楽器がない状態で番号を知りたい場合は、次の順番で当たってみてください。購入したお店に販売の記録が残っていることがあります。保証書、納品書、領収書に記載されていることもあります。修理に出したことがあれば、修理店の伝票に控えられている場合があります。学校や楽団の備品なら、備品台帳に記載されているはずです。
保険に加入している場合、申込時に番号を申告していることがあります。保険会社の記録を確認してみてください。
それでも分からないときは、番号なしで進めることになります。番号がないと届出や掲載ができないわけではありません。傷の位置、修理の跡、彫刻、ケースの特徴といった情報を積み上げれば、特定できることはあります。番号が分からないことを理由に、届出や掲載を先延ばしにしないでください。
中古で買った楽器を確認するとき
中古で手に入れた楽器の番号を確認するときは、刻印そのものの状態にも目を向けてください。
気になるのは、番号があるはずの場所だけ不自然に削られている、その部分だけ地金が出ている、数字の並びが他の刻印と明らかに書体が違う、といった痕跡です。番号を消したり打ち直したりした可能性があります。
そうした痕跡があった場合でも、その場で結論を出す必要はありません。修理の過程で表面を削ったという説明がつくこともあります。まずは購入したときの記録を保管してください。いつ、どこで、いくらで、誰から買ったか。レシート、明細、やり取りの画面を残しておきます。
そのうえで、購入したお店や修理店に相談してください。中古で買うときに気をつけたい点は、別の記事にまとめています。
控えた番号をどこに置いておくか
番号を見つけても、いざというときに取り出せなければ意味がありません。楽器と一緒に保管しないことが大切です。ケースの中のメモは、楽器ごとなくなります。
写真をクラウドに保存しておくのがいちばん手軽です。スマートフォンの写真が自動で同期される設定にしてあれば、端末をなくしても別の機器から見られます。楽器名でアルバムを作ってまとめておくと探しやすくなります。
紙で残す場合は、自宅の別の場所か、家族に預けておいてください。学校や楽団の備品なら、台帳とは別に写真の控えを持っておくと安心です。


よくある質問
- 刻印が薄くて読み取れません
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スマートフォンのライトを斜めから当てて、カメラで撮影し、拡大して確認してみてください。それでも判読できない場合は、修理店に持ち込むと専用の道具で確認してもらえることがあります。磨いたり削ったりするのは避けてください。数字が完全に消えてしまうことがあります。
- 同じ楽器に番号がいくつも刻まれています。どれが本当ですか
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部品ごとに番号が振られていることがあります。トロンボーンのベルとスライド、サクソフォンの本体とネックなどです。どれが本体の番号かを自分で判断せず、見つかったものをすべて控えておいてください。照合するときは多いほうが有利です。位置とあわせて記録しておくと、あとから説明しやすくなります。
- 中古で買った楽器の番号が、メーカーの記録と合いません
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部品が交換されている、刻印が判読しにくい、記録の側が古いなど、いくつかの理由が考えられます。ただし、番号が削られた跡があったり、明らかに打ち直された形跡がある場合は注意が必要です。購入したときの記録を保管したうえで、購入店や修理店に相談してください。中古で買うときの注意点は別の記事にまとめています。
- シリアル番号を公開しても大丈夫ですか
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盗難や紛失にあった楽器を探す場面では、公開したほうが見つかる可能性が上がります。番号は持ち主を示すものではなく、その個体を示すものだからです。当センターの掲載ページでも、ご記入いただいた番号を公開しています。手元にある楽器の番号を日常的に公開する必要はありませんが、探している楽器については公開が有効に働きます。
- 今のうちに何を控えておけばいいですか
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シリアル番号の写真、楽器の全体写真、特徴が分かる部分のアップ、そして購入時の書類の写真です。これらをまとめてクラウドに保存しておけば、スマートフォンをなくしても取り出せます。年に一度、演奏会の前などに見直す習慣にしておくと確実です。
番号は、見つけるための手がかりになります
シリアル番号を控えておくことは、その楽器を言葉で指し示せるようにしておくということです。手元にあるうちに確認して、写真に残しておいてください。
楽器盗難・紛失情報センターでは、盗難や紛失にあった楽器の情報を無料で掲載しています。シリアル番号が分かっている場合はもちろん、分からない場合でも、特徴を積み上げれば掲載できます。まずはご相談ください。
※ この記事は一般的な情報をまとめたものであり、法律上の助言を行うものではありません。当センターは警察・行政機関・法律事務所ではありません。個別の事情によって対応が異なる場合がありますので、警察・弁護士等の専門家へご相談ください。
